協働ロボット導入の費用対効果(ROI)とは?コスト内訳と投資回収の考え方
- ロボットチームKA
- 9月30日
- 読了時間: 4分
はじめに
近年、人手不足や働き方改革の影響で製造現場における自動化ニーズが高まっています。そんな中で注目されているのが「協働ロボット」です。人と同じ空間で安全に働ける協働ロボットは、工場の省力化や生産性向上に大きく貢献しています。
しかし、多くの企業が導入の壁として感じるのが「費用対効果(ROI)」の問題です。いくら便利でも、導入コストが高すぎれば経営判断としては難しいでしょう。
そこで本記事では、協働ロボット導入にかかるコストの内訳から、どのように費用対効果を見極めるかを詳しく解説します。加えて、実際の導入事例や効果を数値で示すことで、投資判断の参考にしていただければ幸いです。
協働ロボット導入にかかる主なコスト
まずは導入に必要な費用の構成を理解しましょう。大きく分けて以下の項目があります。
1. 本体価格
協働ロボット本体の価格は、メーカーや仕様によって大きく異なりますが、一般的には200万円〜500万円程度が多いです。
例:
小型で軽量の協働ロボット:200万円〜300万円
中型でリーチや可搬重量が大きいタイプ:400万円〜500万円
国産モデルも、機能と安全性を両立しつつ、250万円〜400万円の価格帯で提供しています。
2. 周辺機器・エンドエフェクタ
ロボットに取り付けるグリッパー(把持具)やセンサー、台座なども別途必要です。これらは用途によりますが、数十万円〜100万円程度を見込むケースが多いです。
3. 設置・ティーチング・初期立ち上げ費用
ロボットを現場に設置し、作業手順を教え込む「ティーチング」作業には専門技術者の工数がかかります。これにより初期費用が数十万円〜100万円ほど追加されることがあります。
4. 保守・メンテナンス・教育コスト
ロボットの稼働を継続的に保つためのメンテナンス契約や故障時の対応費用、また現場担当者の教育にも費用が発生します。年間数十万円程度を見込む場合が多いです。
費用対効果(ROI)の基本的な考え方
ROI(投資回収率)は、投資した費用がどれくらいの期間で回収できるかを示す指標です。
人件費削減効果
例えば、作業員1人分の人件費を年間500万円と仮定します。協働ロボットがその作業員の仕事の一部または全部を代替すれば、同じ金額を節約できます。
生産効率の向上
協働ロボットは夜間や休日も稼働可能なため、24時間運用により生産量を増やせます。これにより単純な人件費削減以上の利益が見込めます。
品質の安定
ロボットによる一定品質の作業は不良品率を下げ、手直しや返品にかかるコストも減らせます。
ROI(投資回収期間)の計算例
仮に総投資額が400万円(本体+周辺機器+設置費用)、年間で人件費と品質向上によるコスト削減効果が200万円だとします。
ROI(年)= 400万円 ÷ 200万円 = 2年
この場合、約2年で導入費用を回収でき、その後は純利益となります。
業種別 費用対効果が出やすい工程例
自動車部品工場
検査や搬送工程での協働ロボット活用により、単純作業の自動化でROIが高くなりやすいです。
食品・医薬品
包装やラベリング作業を自動化し、人手不足を解消しながら品質管理も強化します。
精密機器
マシンテンディング(機械監視・部品交換)作業で24時間稼働を実現し、安定した生産をサポートします。
費用対効果を高めるポイント
適した工程選定:繰り返し作業や負荷の高い作業を優先的に自動化
柔軟な段取り替え:多品種少量生産に対応できるシステム設計
オールインワン型ロボットの活用:フェアリノのようなセットアップが容易な製品を選ぶ
補助金活用:国や自治体の支援制度を利用して初期費用を軽減
フェアリノ導入事例(仮想例)
小規模工場での部品組立ラインにフェアリノを導入。導入費用400万円、年間人件費削減額270万円で約1.5年で回収。
検査工程で夜間無人運転を可能にし、年間約500万円の人件費削減を実現。
まとめ
協働ロボットの導入は初期投資が必要ですが、正しく費用対効果を見極めることで、1〜3年での投資回収が可能です。ROIだけでなく、生産性向上や品質改善など「見えにくい効果」も含めて総合的に判断することが重要です。






コメント