
Safety Mat / Pressure-Sensitive Safety Mat / Safety Pressure Mat
安全マット(感圧マット)
安全マット(感圧マット)とは、人がその上に乗ったり、一定以上の荷重が加わったりしたことを検知し、機械の危険動作を停止または安全状態へ移行させるための安全機器のことです。ロボットセル、組立機、搬送設備、プレス周辺、危険エリア前面などで広く使われています。
見た目は床に敷くマットですが、内部には感圧検知構造があり、人が踏むと信号が変化して安全リレーや安全PLCへ入力されます。これにより、危険エリアへ人が立ち入ったことを検知し、設備側で停止や減速などの安全制御を行います。
つまり安全マットとは、床面への侵入や立入りを足元で検知し、人を危険動作から守るための踏圧式安全装置です。
■安全マットの役割
安全マットの主な役割は、人が危険エリアへ入ったことを足元で検知し、機械の危険動作を止めることです。
主に次のような目的で使われます。
・危険エリアへの立入り検知
・機械の安全停止
・ロボット作業エリア前の安全確保
・作業者保護
・安全柵を開放できない場所の安全対策
・設備前面の立入り監視
・自動運転と手作業エリアの切り分け
つまり、安全マットは人が床面から危険エリアへ近づいたことを検知する安全インターロック機器です。
■なぜ重要なのか
自動機やロボット設備では、人が不用意に危険エリアへ近づくと、挟まれ、衝突、巻き込まれなどの重大災害につながるおそれがあります。安全柵やライトカーテンが使えない、または使いにくい場所では、床面で侵入を検知する安全マットが有効です。
安全マットが重要な理由は次の通りです。
・人の立入りを確実に検知しやすいため
・床面で広い範囲を守りやすいため
・危険エリア前面の安全対策に向くため
・作業者の存在を機械へ伝えやすいため
・ライトカーテンでは難しいレイアウトにも対応しやすいた め
・安全回路へ組み込みやすいため
特に、出入口ではなく「前に立つこと自体が危険」な設備で有効です。
■基本構造
安全マットは、一般的に次のような要素で構成されます。
1. マット本体
踏圧を受ける床面部分です。耐久性、滑りにくさ、踏み心地も考慮されています。
2. 感圧構造
内部に電気接点や導電層があり、荷重が加わると状態が変化して検知信号を出します。
3. エッジ部
つまずき防止やマット端部の保護のため、傾斜付きフレームや縁材が付くことがあります。
4. 接続ケーブル
安全リレーや安全PLCへ信号を送るためのケーブルです。断線や損傷防止も重要です。
5. 安全制御機器
単体ではなく、安全リレーや安全コントローラと組み合わせて使うのが一般的です。
■主な用途
安全マットは、次のような用途でよく使われます。
・ロボットセル前面の立入り検知
・自動組立機前の安全エリア
・危険装置の作業位置監視
・設備内への立入り検知
・搬送設備周辺の安全確保
・作業者が立つ位置の安全確認
・出入口ではない開放空間の侵入検知
つまり、人が床を通って危険エリアへ近づく場所で特に有効です。
■ライトカーテンとの違い
ライトカーテンは、光の幕を遮ることで侵入を検知する安全機器です。一方、安全マットは、床面を踏んだことを検知する安全機器です。
つまり
、・ライトカーテン=空間を横切る侵入を検知
・安全マット=床面への立入りを検知
という違いがあります。
上から手を入れる危険にはライトカーテン、前に立つこと自体が危険なら安全マットが向く場合があります。
■セーフティレーザスキャナとの違い
セーフティレーザスキャナは、平面エリアを非接触で監視する方式です。一方、安全マットは、実際に踏まれたときに検知する接触型の安全機器です。
つまり、
・レーザスキャナ=非接触、柔軟なエリア設定が可能
・安全マット=接触型、床面で確実に検知しやすい
という違いがあります。
環境条件や誤検知許容度によって使い分けます。
■実務で重要なポイント
安全マットを適切に使うには、次の点が重要です。
1. 設置位置
最も重要なのは、危険エリアへ到達する前に必ず踏む位置へ設置することです。位置が悪いと、マットを避けて侵入できてしまいます。
2. 安全距離
踏んでから機械が停止するまでに、人が危険点へ到達しない距離を確保する必要があります。停止時間を含めた安全距離設計が重要です。
3. 面積とレイアウト
守りたい範囲に対して十分な面積を確保しつつ、回り込みや飛び越えができないようにレイアウトする必要があります。
4. 環境耐性
粉じん、水、油、切粉、重量物通過など、設置環境に合った耐久性が必要です。一般用途向けを工場床へそのまま使うと寿命や安全性に問題が出ることがあります。
5. ケーブル保護
マット本体だけでなく、配線部が断線や損傷しないように保護する必要があります。床面設置では特に重要です。
6. 誤作動と運用性
頻繁に人が行き来する場所へ設置すると、そのたびに設備が停止して運用しづらくなることがあります。作業動線と設備運転のバランスを考える必要があります。
■よくある課題
安全マットでは、次のような課題が起こりやすいです。
・設置位置が悪く回り込まれる
・停止距離が不足している
・油や汚れで滑りやすくなる
・重量物や台車通過で傷みやすい
・ケーブルが断線する
・不要な停止が多く作業効率が落ちる
・マット端でつまずく
・広範囲を守ろうとしてレイアウトが難しくなる
このため、安全マットは単に敷くだけではなく、安全距離、動線、耐久性、運用性を含めて設計する必要がある安全機器です。
■主なメリット
安全マットの主なメリットは次の通りです。
・床面で広い範囲を守りやすい
・人の立入りを直感的に検知しやすい
・非接触センサが使いにくい環境でも使える
・ロボットセル前面の安全対策に向く
・安全回路へ組み込みやすい
・足元の存在確認に適している
■主な注意点
一方で、次のような点には注意が必要です。
・上から手を入れる侵入には向かない
・回り込み対策が必要
・床面環境の影響を受けやすい
・重量物通過や台車運用では適性確認が必要
・保守点検を怠ると安全性能が低下する
・安全柵の代わりになるとは限らない
■自動化との相性
安全マットは、自動化設備との相性が非常に良い安全機器です。特に、作業者が設備前面へ立つことがある設備では、安全回路の一部として非常に有効です。
主なメリットは次の通りです。
・ロボットセル前面保護に向く
・床面からの侵入検知に強い
・安全PLCや安全リレーと連携しやすい
・ライトカーテンが使いにくい場所でも使いやすい
・動線に合わせた安全設計がしやすい
・人の存在を機械へ確実に伝えやすい
一方で、設備ごとに最適な安全方式は異なるため、ライトカーテンや安全柵との使い分けが重要です。
■実務でのチェックポイント
・危険エリアへ行く前に必ず踏む位置へ設置されているか
・安全距離は十分か
・回り込みや飛び越えができないか
・設置環境に耐える仕様か
・滑り、つまずき対策があるか
・ケーブル保護ができているか
・不要停止が多すぎないか
・安全リレーや安全PLCとの接続が適切か
■関連用語
・ライトカーテン(安全光幕)
・エリアセンサー
・安全柵
・非常停止ボタン
・セーフティレーザスキャナ
・安全距離
・安全PLC
・ロボットセル
■まとめ
安全マット(感圧マット)とは、人が床面へ立ち入ったことを踏圧で検知し、機械を安全停止させるための安全機器です。ロボットセルや自動機前面など、床面からの侵入を監視したい場所で有効です。
実務では、設置位置、安全距離、回り込み防止、耐久性、動線との整合まで含めて設計することが重要です。適切な安全マットを採用できれば、作業者保護と設備の安全運用を大きく向上させることができます。
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