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高精度協働ロボットのFAIRINO(フェアリノ・ファイリノ)

Payload and Reach

可搬重量とリーチとは?

可搬重量とリーチとは、ロボットを選定、評価するときに最も基本となる性能指標のことです。可搬重量 は、ロボットが安全かつ安定して持てる最大重量を表し、リーチ は、ロボットが先端をどこまで届かせられるかを表す到達距離です。


ロボット本体を選ぶとき、動けばよいわけではありません。実際には、・ワークを持てるか・先端工具を付けても余裕があるか・必要な作業位置まで届くか・その状態で精度や速度を維持できるかを考える必要があります。

このとき基準になるのが、可搬重量とリーチです。


つまり可搬重量とリーチとは、ロボットが「何を」「どこまで」扱えるかを示す基本性能です。



■可搬重量の意味


可搬重量とは、ロボット先端に取り付けるワークや工具を含めて、ロボットが持てる最大荷重の目安です。一般的には kg で表されます。


たとえば、可搬重量 5kg のロボットは、単純に「5kg のワークを持てる」という意味ではありません。実務では、次のようなものを合計して考える必要があります。


・ワーク重量

・エンドエフェクタ重量

・ツールチェンジャー重量

・配線、配管の負荷

・取り付けブラケットなどの付属重量


つまり、実際にロボットへかかる負荷全体が可搬重量の中に収まる必要があります。



■リーチの意味


リーチとは、ロボットの基準位置から先端工具中心点まで届く最大距離のことです。一般的には mm で表されます。

リーチが長いほど、広い範囲へ届きやすくなります。


たとえば、

・奥まった機械の中へ届く

・広いパレット範囲をカバーできる

・複数ステーションを1台で受け持てる

といった利点があります。


ただし、リーチが長ければよいとは限りません。長くなるほど設置スペース、剛性、速度、干渉リスクとのバランスも重要になります。



■なぜ重要なのか


ロボット選定で最も多い失敗の一つが、可搬重量やリーチを「ぎりぎり」で考えてしまうことです。導入時は問題なく見えても、実際にはハンド重量が想定より重い、ワーク形状が大きく慣性が大きい、奥まで届かない、姿勢によっては届かない、といった問題が起こることがあります。


可搬重量とリーチが重要な理由は次の通りです。


・ワークを安全に扱えるか判断しやすいため

・必要な作業範囲をカバーできるか分かるため

・ロボット選定の初期判断基準になるため

・タクト、精度、安定性に影響するため

・将来の工程変更やツール変更にも関係するため

・導入後の「できない」を防ぎやすいため


つまり、可搬重量とリーチはロボット導入の成立条件を左右する重要項目です。



■可搬重量で実務上よくある誤解


可搬重量では、次のような誤解が起こりやすいです。


1. ワーク重量だけ見てしまう

最も多いのが、ワーク重量だけで判断してしまうことです。実際にはハンドやツールの重さも加算する必要があります。


2. 静止時重量だけで考える

持って止まっているだけでなく、加減速時には慣性力が加わります。高速動作では実質的な負荷が大きくなります。


3. 偏った持ち方を無視する

同じ重量でも、重心位置が遠いとロボットへの負担は大きくなります。モーメントの考慮が必要です。


4. 余裕を見ない

仕様上ぎりぎりで使えるとしても、連続運転や将来の変更を考えると余裕を持つことが重要です。



■リーチで実務上よくある誤解


リーチでも、次のような誤解が起こりやすいです。


1. 最大到達距離だけ見てしまう

最大リーチが足りていても、その姿勢で本当に作業できるとは限りません。工具姿勢や干渉条件まで確認が必要です。


2. 作業点だけで考える

開始位置、退避位置、中継点、搬送経路も含めて届く必要があります。


3. 周辺機器の厚みを見落とす

治具、ドア、チャック、パレット、囲いなどの厚みを考慮しないと、届くはずが届かないことがあります。


4. 長いほど有利だと思う

リーチが長いと設置自由度は増えますが、占有空間や干渉範囲も広がります。最適値を考えることが重要です。



■可搬重量とリーチの関係


可搬重量とリーチは、それぞれ独立した数値に見えますが、実際には密接に関係しています。


一般に、

・可搬重量が大きいロボットは本体も大きくなりやすい

・リーチが長いロボットは必要剛性も高くなりやすい

・先端で重いものを持つほど負荷が増えやすい

という傾向があります。


つまり、遠くまで届くこと と 重いものを持つこと を両立するには、それに見合ったロボットサイズや構造が必要になります。



■エンドエフェクタとの関係


可搬重量を考えるとき、エンドエフェクタは非常に重要です。ロボット本体だけを見て選定しても、先端に重いグリッパーや真空ハンドを付けると、可搬余裕がなくなることがあります。


また、リーチについても、エンドエフェクタ先端が長いと、実際の作業点は遠くなります。


つまり、

・エンドエフェクタが重い → 可搬余裕が減る

・エンドエフェクタが長い → 実質必要リーチが増える

という関係があります。



■協働ロボットとの関係


協働ロボットでは、可搬重量とリーチのバランスが特に重要です。

協働ロボットは安全性や扱いやすさを重視するため、大型産業用ロボットに比べて可搬重量や速度に制約があることがあります。


そのため、

・ワーク重量

・ハンド重量

・必要タクト

・人との共存範囲を含めて、無理のない選定をする必要があります。



■実務で重要なポイント


可搬重量とリーチを正しく判断するには、次の点が重要です。


1. 余裕を持って選定する

最も重要なのは、カタログ値ぎりぎりで選ばないことです。ワークばらつき、ハンド変更、将来拡張を考えると余裕が必要です。


2. 重量だけでなく重心を考える

重いか軽いかだけでなく、どこに重心があるかでロボット負荷は変わります。先端が長いハンドは特に注意が必要です。


3. 実作業姿勢で確認する

届くかどうかは、最大リーチではなく、実際の姿勢、角度、周辺干渉を含めて確認する必要があります。


4. 中継点や退避点も含める

作業点だけでなく、安全な移動経路まで含めてリーチ確認することが重要です。


5. タクトとの両立を見る

可搬重量が大きくても、重い負荷では動作速度を上げにくいことがあります。タクトとのバランスが重要です。


6. 周辺機器込みで考える

ロボット単体ではなく、架台高さ、治具位置、コンベア幅、機械扉位置なども含めて検討する必要があります。



■よくある課題


可搬重量とリーチの検討では、次のような課題が起こりやすいです。


・ワーク重量だけで判断する

・ハンド重量を見落とす

・姿勢による届き方の違いを見ていない

・中継点や退避位置を考えていない

・重心位置を考慮していない

・タクトとの両立を見ていない

・将来の段取り替え余地がない

・リーチ優先で干渉範囲が大きくなりすぎる


このため、可搬重量とリーチは単なるカタログ比較ではなく、実工程に当てはめて立体的に検討すべき基本仕様です。



■自動化との相性


可搬重量とリーチは、自動化設備との相性が良いというより、ロボット自動化を成立させるための最重要基本条件です。これが合っていないと、教示、タクト、安全、品質すべてに影響します。


主なメリットは次の通りです。


・適切なロボット選定をしやすい

・導入後のミスマッチを防ぎやすい

・工程設計を具体化しやすい

・エンドエフェクタ設計と連携しやすい

・将来拡張の余地を持ちやすい

・安定稼働につながりやすい


一方で、数値だけで判断せず、実際のワーク、姿勢、経路、周辺設備まで含めて確認することが重要です。



■実務でのチェックポイント


・ワーク重量だけでなくハンド重量も含めているか

・重心位置やモーメントを考慮しているか

・最大リーチではなく実作業姿勢で確認しているか

・中継点、退避点も届くか

・タクト要求と両立しているか

・周辺治具や扉との干渉を見ているか

・将来の工程変更余地を持たせているか

・可搬重量、リーチともに余裕を見ているか



■関連用語


・協働ロボット(コボット)・エンドエフェクタ・グリッパー・ティーチング・パレタイジング・マシンテンディング・安全機能・設置面積(フットプリント)



■まとめ


可搬重量とリーチとは、ロボットが「どれだけの重さを持てるか」「どこまで届くか」を示す基本性能です。ロボット選定の最初の判断基準であり、ワーク重量、エンドエフェクタ、姿勢、経路、タクト、安全性まで大きく関わります。


実務では、ワークだけでなくハンド重量や重心位置を含め、最大値ではなく実作業条件で確認することが重要です。適切に見極めることができれば、ロボット導入の失敗を減らし、安定した自動化につなげることができます。

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