
Hollow Shaft Servo Motor
中空軸モーター
中空軸モーターとは、モーターの回転軸の中心部に穴(中空部)を持つ構造のモーターのことです。産業用ロボット、協働ロボット、半導体装置、自動組立機、搬送装置、回転テーブル、スカラロボット、精密位置決め装置などで使われることがあります。
一般的なモーターは、中心に実軸を持つ構造が多いですが、中空軸モーターはその中心が貫通しているため、配線、配管、光学系、シャフト、ボルト、真空配管などを内部に通しやすいのが大きな特徴です。この構造により、装置全体をコンパクトにまとめやすく、外部配線の引っ掛かりや干渉を減らしやすくなります。
特にロボットや回転軸では、先端側へ信号線やエア配管を通したい場面が多いため、中空軸構造は機構設計上の大きなメリットになります。また、中空軸モーターは単なる配線用の穴だけでなく、同軸構造を作りやすい、内部配策をしやすい、省スペース化に有利といった利点もあります。
つまり中空軸モーターとは、中心部に貫通穴を持ち、配線、配管、機構部品を内部に通しながら駆動できるモーターです。
■中空軸モーターの役割
中空軸モーターの主な役割は、モーター駆動を行いながら、その中心部の空間を配線、配管、機械構造のために有効活用することです。
主に次のような目的で使われます。
・内部配線、内部配管の実現
・同軸構造の構成
・省スペース化
・回転部への信号、空圧供給
・外部干渉の低減
・見た目の整理
・回転テーブルや中空関節の駆動
・装置構造の高密度化
つまり、
◆中空軸モーターは駆動と内部ルーティングを両立させるための機能的なモーター構造です。
■なぜ重要なのか
自動化設備やロボットでは、モーターで軸を回すだけでなく、その先へ電線、通信線、エア配管、真空配管などを通したい場面が多くあります。
たとえば、
・回転テーブル先端へ配線を通したい
・ロボット関節内部をすっきりさせたい
・エンドエフェクタへ配線を内部で届けたい
・外部露出ケーブルを減らしたい
・同軸で機械構造をまとめたい
といった要求です。
通常軸モーターでは、これらを外周側へ逃がす必要があり、
・配線が絡みやすい
・引っ掛かりやすい
・省スペース化しにくい
・見た目が煩雑になる
・保護構造が増える
といった問題が出ることがあります。
そのため、
◆中空軸モーターは単なる特殊形状のモーターではなく、配線、配管、機構設計をシンプルにしやすい
重要な構造要素です。
■ 主な特徴
中空軸モーターには、一般的に次のような特徴があります。
1. 中心に貫通穴がある
最も大きな特徴で、配線、配管、シャフトなどを通すことができます。
2. 同軸構造を作りやすい
回転中心と他の機械要素を同軸でまとめやすいです。
3. 外部配線を減らしやすい
先端や回転部へのルートを内部化しやすいです。
4. 省スペース設計に向く
装置をコンパクトに構成しやすくなります。
5. 見た目と保護性を改善しやすい
ケーブル露出を減らし、干渉や汚れの影響を受けにくくできます。
■一般的な軸付きモーターとの違い
中空軸モーターと一般的な軸付きモーターの違いは、主に中心部の使い方にあります。
※一般的な軸付きモーター
中心は実軸で、駆動伝達が主目的です。配線や配管は外側で処理することが多いです。
※中空軸モーター
中心が空洞になっており、駆動に加えて内部ルーティングや同軸構造を取りやすいです。
つまり、
・通常モーター=回すことが主
・中空軸モーター=回すことに加えて内部空間を活かせるという違いがあります。
■ロボットとの関係
ロボットでは、中空軸モーターが特に次のような場面で有効です。
1. 関節部の内部配線
関節の中心を通してケーブルや配管を先端へ導きやすくなります。
2. 中空アーム構造との組み合わせ
中空アームと組み合わせることで、外部露出の少ないロボット構造を作りやすいです。
3. 回転軸まわりの配策
ツール配線やエア配管を内部に通せるため、干渉を減らしやすいです。
4. 協働ロボットや小型装置
安全性や見た目、コンパクト性が重視される場面で有利です。
つまり、
◆中空軸モーターはロボットの内部配線性と省スペース性を高める駆動要素として有効です。
■主な用途
中空軸モーターは、次のような用途で使われます。
1. ロボット関節軸
内部配線、内部配管を通しながら関節駆動する用途です。
2. 回転テーブル
テーブル中央へ配線、エア、真空を通したい場合に有効です。
3. スカラロボットや組立装置
コンパクトな回転軸構成や先端配策の整理に使われます。
4. 半導体、精密装置
ケーブル露出を減らし、クリーンでコンパクトな構造にしやすいです。
5. ツールチェンジャーや回転ユニット
回転しながら先端へ信号や空圧を供給したい場合に使われます。
■主なメリット
中空軸モーターには、一般的に次のようなメリットがあります。
1. 内部配線しやすい
配線、配管を中心部へ通せるため、外部露出を減らしやすいです。
2. 干渉を減らしやすい
外側のケーブルの逃げが少なく、ワークや設備との接触を抑えやすいです。
3. 省スペース化しやすい
装置全体をコンパクトにまとめやすくなります。
4. 同軸設計に向く
構造が整理しやすく、精密な軸構成を作りやすいです。
5. 見た目や安全性を高めやすい
露出物が少ないため、設備外観や人との接触面で有利です。
■注意点
一方で、中空軸モーターには注意点もあります。
1. 中空径に限界がある
最も重要なのは、中心に穴があっても、通せる本数や外径には制限があることです。
2. トルクやサイズのバランスが必要
中空構造にすることで、同サイズの通常軸モーターとは設計条件が変わることがあります。
3. 配線、配管の曲げ条件に注意が必要
内部を通しても、可動部では曲げやねじりの影響を受けます。
4. 保守や交換が難しくなることがある
内部に通したケーブルや配管の交換が手間になる場合があります。
5. コストが高くなる場合がある
一般的な構造より特殊性があるため、価格面で不利なことがあります。
■実務で重要なポイント
中空軸モーターを正しく選定、活用するには、次の点が重要です。
1. 何を通すかを最初に明確にする
最も重要なのは、電線、通信線、エア、真空、シャフトなど、何を通すかを設計初期に決めることです。
2. 中空径だけでなく可動条件も確認する
通るかどうかだけでなく、回転時の曲げ、ねじり、引張条件まで考える必要があります。
3. モーター性能との両立を見る
中空構造の便利さだけでなく、必要トルク、速度、精度を満たすか確認することが重要です。
4. 交換性と保守性を考える
内部ケーブルや配管をどう交換するか、分解しやすいかを事前に考える必要があります。
5. 配策を詰め込みすぎない
中空部に過剰に詰め込むと、摩耗、熱、作業性悪化の原因になります。
6. 周辺構造と一体で設計する
中空軸モーター単体ではなく、中空アーム、先端フランジ、中継コネクタまで含めて考えることが重要です。
■よくある課題
中空軸モーターの活用では、次のような課題が起こりやすいです。
・中空だから何でも通せると思ってしまう
・通す本数や径を見誤る
・曲げ、ねじり条件を軽視する
・交換や保守が難しくなる
・モーター性能より配策性だけで選んでしまう
・内部で配線同士が擦れる
・後から追加したい配線が通らない
・周辺構造との取り合いが不十分
このため、
◆中空軸モーターは便利な構造ですが、配策、駆動性能、保守性を一体で設計すべき機能部品です。
■自動化との相性
中空軸モーターは、自動化設備との相性が非常に良い構造です。特に、ロボット関節、回転テーブル、省スペース装置、内部配線を重視する設備で大きな効果があります。
主なメリットは次の通りです。
・内部配線、配管しやすい
・外部干渉を減らしやすい
・同軸構造を作りやすい
・省スペース設計に向いている
・設備外観を整理しやすい
・ロボットや回転装置の信頼性向上につながりやすい
■まとめ
中空軸モーターとは、回転軸の中心部に貫通穴を持ち、配線、配管、機械部品を内部に通せる構造のモーターです。ロボット関節、回転テーブル、精密装置などで使われ、内部配線、外部干渉低減、省スペース化、同軸設計に大きなメリットがあります。
実務では、何を通すか、どのくらいの径が必要か、曲げやねじり条件、交換性、モーター性能まで含めて設計することが重要です。適切に活用できれば、ロボットや自動化設備の配策性、見た目、安全 性、信頼性を大きく高めることができます。
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