
Focal Length
焦点距離
焦点距離とは、カメラレンズの光学中心(主点)から撮像センサー(イメージセンサー)までの距離を表す光学的な値で、一般的にミリメートル(mm)で表されます。焦点距離は、レンズの画角(写る範囲)や被写体の見え方、撮影倍率に大きく影響するため、ロボットビジョンや画像処理システムでは非常に重要な仕様です。
焦点距離が短いレンズ(広角レンズ)は広い範囲を撮影できますが、対象物は小さく写ります。一方、焦点距離が長いレンズ(望遠レンズ)は撮影範囲が狭くなる代わりに、対象物を大きく撮影できます。
ロボットビジョンでは、対象物全体を撮影したいのか、一部分を高精度で測定したいのかによって、最適な焦点距離が異なります。そのため、撮影距離・対象物の大きさ・必要な分解能を考慮して焦点距離を選定することが重要です。
一般的な焦点距離の例は次のとおりです。
・6mm(超広角)・8mm・12mm・16mm・25mm
・35mm・50mm(標準)・75mm以上(望遠)
例えば、
・ロボット位置補正
・ビンピッキング
・外観検査
・寸法測定
・QRコード読取り
・AI画像認識
・OCR(文字認識)
など、画像認識を利用する設備では焦点距離の選定が重要になります。
◆つまり焦点距離とは、撮影範囲や対象物の大きさを決定するレンズの基本性能です。
■焦点距離の役割
焦点距離の主な役割は、撮影範囲や撮影倍率を決定し、画像認識や測定に適した画像を取得することです。
主な役割は次のとおりです。
・画角の決定
・撮影倍率の調整
・対象物サイズの調整
・解像度の最適化
・認識精度の向上
・測定精度の向上
・画像品質の向上
・自動化対応
◆つまり焦点距離は、ロボットビジョンの認識性能を左右する重要なレンズ仕様です。
■なぜ重要なのか
焦点距離が適切でない場合、
・対象物が画面に収まらない
・必要な解像度を確保できない
・測定精度が低下する
・認識率が下がる
といった課題があります。
一方、適切な焦点距離を選定することで、
・最適な画角を確保できる
・高精度な画像認識が可能になる
・位置補正精度が向上する
・寸法測定の精度が向上する
・AI認識率を高められる
など、多くのメリットがあります。
◆そのため焦点距離 は、ロボットビジョンシステムの性能を左右する重要な要素となっています。
■基本的な考え方
焦点距離は、一般的に次の流れで決定します。
1. 撮影対象を確認する
ワークサイズや形状を把握します。
2. 撮影距離を決める
カメラと対象物の距離を決定します。
3. 必要な画角を算出する
撮影範囲を決定します。
4. 焦点距離を選定する
必要な画角と解像度から最適なレンズを選びます。
◆つまり焦点距離は、撮影範囲と認識精度のバランスを考えて選定することが重要です。
■画角との違い
混同されやすい用語として画角があります。
△焦点距離
レンズの光学性能を示す数値です。
△画角
レンズによって実際に撮影できる範囲を角度で表したものです。
つまり、
・焦点距離=レンズの仕様
・画角=撮影できる範囲
という違いがあります。
■撮影距離との違い
もう一つ混同されやすいのが撮影距離です。
△焦点距離
レンズの設計上の仕様です。
△撮影距離
カメラから対象物までの実際の距離です。
つまり、
・焦点距離=レンズ固有の性能
・撮影距離=設置条件
という違いがあります。
■ロボットでの使われ方
焦点距離は、次のような用途で重要になります。
1. ビンピッキング
箱全体を撮影できる画角を確保します。
2. 外観検査
欠陥を十分な大きさで撮影します。
3. 寸法測定
測定精度に合わせて倍率を決定します。
4. QRコード読取り
コード全体が鮮明に写るよう調整します。
5. AI画像認識
学習に適した画像サイズを確保します。
◆つまり焦点距離は、ロボットビジョンの画質と認識精度を決定する重要な要素です。
■主なメリット
適切な焦点距離を選定することで、一般的に次のようなメリットがあります。
1. 認識精度が向上する
対象物を適切な大きさで撮影できます。
2. 測定精度が向上する
必要な画素数を確保できます。
3. AI認識率が向上する
高品質な画像を取得できます。
4. 品質を安定化できる
画像処理の成功率が高まります。
5. 設備の信頼性が向上する
認識エラーを減らせます。
■注意点
一方で、焦点距離には注意点もあります。
1. センサーサイズも考慮する
最も重要なのは、同じ焦点距離でもカメラのイメージセンサーサイズによって画角が変わることです。そのため、焦点距離だけでなくセンサーサイズも含めて選定する必要があります。
2. 撮影距離を確認する
設置スペースとのバランスを考慮します。
3. 解像度を確認する
必要な分解能を満たす倍率を選びます。
4. 被写界深度を考慮する
高さのあるワークではピント範囲も重要です。
5. 定期点検を実施する
ピントやレンズの汚れを確認します。
■実務で重要なポイント
焦点距離を適切に選定するには、次の点が重要です。
1. 必要な視野と分解能から逆算する
最も重要なのは、「どの範囲を撮影し、どの大きさの特徴を検出したいか」を明確にし、それ に必要な焦点距離を計算して選定することです。
2. ワーク変更を考慮する
将来の製品変更にも対応できるよう余裕を持たせます。
3. 照明と組み合わせて設計する
レンズだけでなく照明条件も最適化します。
4. 歪みを確認する
測定用途では歪みの少ないレンズを選びます。
5. 保守履歴を管理する
ピント調整や交換履歴を記録します。
6. 実機評価を行う
計算だけでなく実際の撮影結果を確認して最終決定します。
■よくある課題
焦点距離の選定では、次のような課題が発生しやすくなります。
・画角が不足する
・対象物が小さく写る
・必要な解像度を確保できない
・歪みが大きくなる
・被写界深度が不足する
・撮影距離を確保できない
・センサーサイズとの組み合わせを誤る
・用途変更時に対応できない
このため焦点距離は、
撮影距離・画角・センサーサイズ・必要な分解能を総合的に考慮して選定することが重要です。
■自動化との相性
焦点距離の適切な選定は、自動化設備との相性が非常に重要です。産業用ロボット、協働ロボット、画像処理ソフトウェア、AI、外観検査装置などと組み合わせることで、高精度な画像認識システムを構築できます。
主なメリットは次のとおりです。
・認識精度を向上できる
・測定精度を向上できる
・品質を安定化できる
・多品種生産へ対応できる
・省人化を推進できる
・スマートファクトリー化を実現できる
■まとめ
焦点距離とは、レンズの光学中心からイメージセンサーまでの距離を示す光学的な値であり、画角や撮影倍率を決定する重要な仕様です。ロボットビジョンでは、撮影対象や撮影距離、必要な分解能に応じて適切な焦点距離を選定することで、画像認識や位置補正、寸法測定の精度を大きく向上させることができます。
実務では、センサーサイズや画角、撮影距離、照明条件を総合的に考慮してレンズを選定することが重要です。適切な焦点距離を選ぶことで、ロボットビジョンシステムの性能を最大限に引き出し、安定した自動化を実現できます。






