
Acceleration Deceleration Motion Profile
加減速設定とは?
加減速設定とは?(かげんそくせってい)
■定義
加減速設定とは、機械軸やロボットの動作において、目標速度へ「加速していく過程」と、停止・低速へ「減速していく過程」をどのように設計するかを指定する制御概念である。設定項目には主に以下が含まれる。
加速度(acceleration):どれだけの速さで速度を上げるか
減速度(deceleration):どれだけの速さで速度を落とすか
プロファイル形状(台形・S字):速度変化のカーブをどう描かせるか
ジャーク(加加速度):加速度変化の滑らかさをどう制限するか
特にS字プロファイル(S-curve)はジャークを抑制し、ロボットアーム・自動機構の振動、部品の把持ずれ、ワーク飛びを大幅に低減できる。
■加減速プロファイルの種類と特徴
●1. 台形プロファイル(Trapezoidal Acc/Dec)
もっとも一般的で、「一定加速度 → 等速 → 一定減速度」という“台形”の速度曲線を描く。
メリット
応答が速い
プログラムがシンプル
時短工程に向く
デメリット
速度切替点でジャークが発生し振動が出やすい
精密工程や把持作業ではワークずれの原因に
適用例:サイクル重視工程(供給、搬送、P&Pなど)
●2. S字プロファイル(S-curve Acc/Dec)
加速度を滑らかに変化させるため、速度曲線が“ゆるやかなS字”を描く。
メリット
ジャーク低減 → ロボットの振動抑制
ワーク保持の安定性向上
研磨・面取りなど仕上げ工程に最適
デメリット
台形より応答が遅い(時間がかかる)
チューニングパラメータが多い
適用例:品質優先工程(研磨、圧入、測定、光学部品搬送など)
■ポイント(設計時に必ず考慮すべき要素)
●1. 軸ごとの上限値・可搬慣性を考慮することが必須
ロボット・モーターには、
許容加速度
可搬慣性(モーメント負荷)
機械剛性などの制約が存在する。
加減速設定がこれを超えると、振動増加・位置決め精度低下・過負荷アラームが起こり、最悪の場合は機構破損につながる。
●2. 「工程の目的によって設定は真逆になる」
品質重視なら S字+ブレンド
ブレンドとは、ポイント間を滑らかに接続し、停止なく移動させる技術
設備振動の抑制、ワーク表面の品質向上に有効
時短重視なら 台形+高応答
ピック&プレース、ワーク供給など
軸停止数を減らし、加減速の立ち上がりを鋭くする
工程目的の“優先指標(品質 or サイクル)”を明確にすることが重要。
●3. ジャーク制御とトルク管理が表裏一体
滑らかな加減速は、必要トルクのピークを抑え、モーター温度上昇を低減する。
逆に、ジャークが大きい(=台形の急な立ち上がり)とトルクピークが跳ね上がり、
過負荷
サーボアラーム
位置決め精度の低下
の原因になるため、トルクチューニングとセットで最適化する。
■関連用語
モーション制御(Motion Control)
ブレンド(Blend / Cornering)
ジャーク制限(Jerk Limit)
トルクチューニング(Servo Tuning)
プロファイル生成(Trajectory Planning)
■用例(現場での実際の使われ方)
研磨工程のみS字プロファイルに切替え、端部の微振動による筋(ビビり痕)が解消された。これにより外観検査のNG率が6% → 0.5%まで改善。
ほかにも、
脱着工程でワークずれがなくなった
ガラス搬送で破損率が低下
位置決め時間を短縮し生産タクトが向上
など、工程ごとに加減速設定を最適化することで大きな改善が得られる。
■まとめ(技術者へのメッセージ)
加減速設定は単なる“速度の上げ下げ”ではなく、品質・タクト・設備寿命を左右する基礎モーション要素である。
品質工程 → S字プロファイル
タクト工程 → 台形プロファイル
という原則を押さえつつ、軸負荷・慣性・剛性・工具特性を考慮して設定することで、ロボット・自動機の性能を最大限引き出すことが可能になる。
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