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High-precision collaborative robot FAIRINO

Path Repeatability

軌跡再現性

軌跡再現性とは、ロボットが一度教示・設定した移動経路(軌跡)を、何度繰り返しても同じように再現できる性能のことです。単に目的の位置へ到達するだけではなく、始点から終点までの移動経路全体をどれだけ正確かつ安定して再現できるかを示す重要な性能指標です。


産業用ロボットや協働ロボットでは、同じ作業を何千回、何万回と繰り返します。そのため、毎回同じ軌跡をたどる能力が品質や生産性に大きく影響します。


例えば、次のような作業では軌跡再現性が重要になります。

・アーク溶接・レーザー溶接・シーリング(接着剤・シール材塗布)・塗装・研磨・バリ取り・レーザー加工・切削加工・検査・計測


これらの工程では、ロボットが毎回同じ経路を正確にたどることで、均一な加工品質や安定した製品品質を実現できます。


なお、「繰り返し位置決め精度(Repeatability)」と混同されることがありますが、繰り返し位置決め精度は到達点の精度を表すのに対し、軌跡再現性は移動中の経路全体の再現性を表します。


◆つまり軌跡再現性とは、ロボットが一度教示した軌跡を繰り返し正確に再現する能力です。



■軌跡再現性の役割


軌跡再現性の主な役割は、ロボットの加工品質や作業品質を安定させることです。


主に次のような目的で利用されます。


・加工品質の安定化

・製品品質の均一化

・溶接品質の向上

・塗装品質の維持

・検査精度の向上

・サイクルタイムの安定化

・自動化品質の向上

・歩留まり改善


◆つまり軌跡再現性は、高品質な自動化を支える重要な性能です。



■なぜ重要なのか


ロボットが毎回違う経路を通ると、

・溶接ビードが乱れる

・塗装ムラが発生する

・接着剤の塗布量が変化する

・加工寸法にばらつきが生じる

・検査位置がずれる

といった問題が発生します。


軌跡再現性が高いロボットでは、

・毎回同じ加工品質を維持できる

・製品のばらつきを減らせる

・設備調整の回数を減らせる

・不良率を低減できる

・生産性を向上できる

といったメリットがあります。


◆そのため軌跡再現性は、高精度加工や高品質生産に欠かせない性能となっています。



■基本的な考え方


軌跡再現性は、一般的に次のような要素によって決まります。


1. 教示した軌跡を記憶する

ロボットが移動経路をプログラムとして保持します。


2. 同じ制御条件で動作する

速度や加速度、補間条件を維持します。


3. 同じ姿勢を維持する

ツール姿勢やTCPを一定に保ちます。


4. 軌跡を繰り返し再現する

毎回同じ経路をたどるよう制御します。


◆つまり軌跡再現性は、位置だけでなく移動中の経路全体を安定して再現する仕組みです。



■繰り返し位置決め精度との違い


軌跡再現性を理解するうえで重要なのが、繰り返し位置決め精度との違いです。


△軌跡再現性

移動経路全体をどれだけ同じように再現できるかを表します。


△繰り返し位置決め精度

目的位置へ何度繰り返しても同じ位置に到達できる精度を表します。


つまり、

・軌跡再現性=移動中の経路を評価

・繰り返し位置決め精度=到達点を評価

という違いがあります。



■絶対位置決め精度との違い


絶対位置決め精度とも意味が異なります。


△絶対位置決め精度

指令した座標へどれだけ正確に到達できるかを表します。


△軌跡再現性

一度教示した経路を何度でも同じように再現できるかを表します。


つまり、

・絶対位置決め精度=目標座標との誤差

・軌跡再現性=経路の安定性

という違いがあります。



■ロボットでの使われ方


軌跡再現性は、特に次のような場面で利用されます。


1. アーク溶接

毎回同じ溶接線をたどります。


2. 塗装

均一な塗膜厚さを維持します。


3. シーリング

一定の塗布幅・塗布量を維持します。


4. レーザー加工

加工位置や切断品質を安定させます。


5. 研磨・バリ取り

均一な仕上がりを実現します。


◆つまり軌跡再現性は、加工品質が移動経路に左右される工程で特に重要です。



■主なメリット


軌跡再現性には、一般的に次のようなメリットがあります。


1. 品質が安定する

同じ加工結果を繰り返し得られます。


2. 不良率を低減できる

製品ばらつきを抑えられます。


3. 調整作業を減らせる

頻繁な再教示が不要になります。


4. 生産性が向上する

安定した連続運転が可能になります。


5. 自動化の信頼性が向上する

長期間にわたり安定した品質を維持できます。



■注意点


一方で、軌跡再現性には注意点もあります。


1. 繰り返し位置決め精度と混同しない

最も重要なのは、到達位置の精度が高くても、軌跡全体が同じとは限らないことです。


2. TCP設定が重要

ツールセンターポイント(TCP)の誤差は軌跡再現性に影響します。


3. キャリブレーションを維持する

座標系やツール設定がずれると軌跡も変化します。


4. 周辺設備の精度も影響する

治具やワーク位置のばらつきが品質に影響します。


5. 摩耗やバックラッシも考慮する

長期間の使用により機械的な誤差が増える場合があります。



■実務で重要なポイント


軌跡再現性を維持するには、次の点が重要です。


1. TCPを正確に設定する

最も重要なのは、TCPを正しくキャリブレーションすることです。


2. 座標系を統一する

ワーク座標やツール座標を適切に管理します。


3. 定期点検を実施する

ロボット本体や減速機、ツールの状態を確認します。


4. 周辺設備も管理する

治具や搬送装置の精度を維持します。


5. 実加工で品質を確認する

シミュレーションだけでなく実際の加工結果を評価します。


6. 長期的な精度管理を行う

定期的な校正や精度測定を実施します。



■よくある課題


軌跡再現性では、次のような課題が起こりやすいです。


・繰り返し位置決め精度と混同している

・TCP設定が正しくない

・座標系がずれている

・治具精度が不足している

・機械摩耗を考慮していない

・加工品質だけで判断している

・キャリブレーション不足

・定期点検を実施していない


◆このため軌跡再現性は単なるロボット性能ではなく、ロボット本体、ツール、治具、

 制御条件を含めたシステム全体で維持・管理すべき重要な品質指標として考える必要があります。



■自動化との相性


軌跡再現性は、自動化設備との相性が非常に良く、アーク溶接、塗装、シーリング、レーザー加工、研磨、検査装置など、高精度な経路制御が求められる工程で幅広く利用されています。


主なメリットは次の通りです。


・加工品質を安定できる

・製品ばらつきを低減できる

・不良率を削減できる

・再教示の回数を減らせる

・生産性を向上できる

・高品質な自動化を実現できる



■まとめ


軌跡再現性とは、ロボットが一度教示した移動経路を何度でも同じように再現できる性能です。繰り返し位置決め精度が「到達点」の精度を表すのに対し、軌跡再現性は「移動経路全体」の安定性を評価します。


実務では、TCPや座標系の設定、キャリブレーション、治具精度、定期点検を適切に管理することが重要です。高い軌跡再現性を維持することで、加工品質や製品品質の安定化、生産性向上、不良率低減につながります。

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