
Foreseeable Misuse in Machinery Safety (Reasonably Foreseeable Misuse)
誤使用(予見可能な誤使用)
誤使用(予見可能な誤使用)とは、設計者の意図した使用方法ではないものの、現実的に発生すると合理的に予測できる使用行為を指します。
ISO 12100(機械安全―リスクアセスメント及びリスク低減)では、「合理的に予見可能な誤使用(Reasonably Foreseeable Misuse)」を設計段階で考慮することが明確に求められています。
つまり、単に「正しい使い方」だけを前提に安全設計を行うのでは不十分であり、人は必ずミスをするという前提で安全設計を行うことが国際的な安全思想の基本です。
■なぜ予見可能な誤使用を考慮するのか?
製造現場では、以下のような行為が現実的に起こり得ます。
・安全カバーを外したまま運転する
・段取り替え時にインターロックを無効化する
・想定外のワークを搬送させる
・定格重量を超える物を把持する
・メンテナンス中に誤起動する
これらは「本来禁止される行為」ですが、現場実態として発生する可能性があるため、設計段階で対策を講じる必要があります
■誤使用と不適切使用の違い
混同されやすい概念ですが、以下のような違いがあります。
・誤使用(予見可能な誤使用) → 合理的に予測できる誤った使い方
・想定外の不適切使用 → 社会通念上予測困難な極端な行為
設計者は「合理的に予測できる範囲」まで責任を負います。
どこまでが予見可能かは、技術水準・使用環境・過去 事故事例などを基に判断されます。
■ロボット分野における予見可能な誤使用の例
協働ロボットや自動化設備では、以下のようなケースが典型例です。
・協働モードのまま高速動作させる
・工具先端を鋭利なまま運用する
・セーフティゾーン設定を変更して使用する
・ワーク変更時にリスク再評価を行わない
重要なのは、ロボット単体ではなく、ツール・ワーク・周辺設備を含めたシステム全体で誤使用を想定することです。
■設計者が取るべき対応(プロ視点)
予見可能な誤使用に対しては、以下の優先順位で対応します。
本質安全設計で危険要因を排除
安全装置による技術的対策
操作制限・アクセス制御
警告表示・教育訓練
単なる注意喚起では不十分であり、構造的に誤使用できない設計が理想です。




