
Coordinated Control
協調制御
協調制御とは、複数のロボットやロボットと周辺設備が互いに動作を同期・連携し、一つのシステムとして協力しながら作業を行う制御技術のことです。産業用ロボットや協働ロボット、自動化設備、スマートファクトリーなどで広く採用されており、高度な自動化や大型ワークの加工に欠かせない技術となっています。
一般的なロボットは1台で独立して作業しますが、協調制御では複数のロボットや設備がリアルタイムで情報を共有し、それぞれの動作を同期させながら作業を進めます。
例えば、
・2台のロボットで大型ワークを持ち上げる
・1台が部品を保持し、もう1台が加工する
・ロボットとコンベヤーを同期させる
・ロボットとポジショナーを同時に動かす
・複数ロボットが組立作業を分担する
といった用途で利用されます。
協調制御では、位置情報や速度、加速度、動作タイミングなどをリアルタイムで共有し、各装置が互いに影響し合いながら動作します。
◆つまり協調制御とは、
複数のロボットや設備を一体化し、安全かつ効率的に協力して作業を行うための制御技術のことです。
■協調制御の役割
協調制御の主な役割は、複数のロボットや設備を連携させ、一台では難しい作業を可能にすることです。
主に次のような目的で利用されます。
・大型ワークへの対応
・複数工程の同時処理
・作業時間の短縮
・生産性の向上
・加工品質の向上
・設備全体の同期運転
・柔軟な生産ラインの構築
・高度な自動化の実現
◆つまり協調制御は、設備全体の能力を最大限に引き出すための重要な制御技術です。
■なぜ重要なのか
近年の製造現場では、多品種少量生産や大型製品への対応が求められています。
例えば、
・自動車の大型ボディ部品
・航空機部品
・建設機械部品
・大型パレットの搬送
・重量物の組立
などでは、1台のロボットだけでは対応が難しい場合があります。
このような場合に協調制御を導入すると、
・複数ロボットで重量物を搬送できる
・工程を分担してサイクルタイムを短縮できる
・ワーク姿勢を最適に保てる
・設備全体を効率よく運用できる
・自動化できる工程が増える
といったメリットがあります。
◆そのため協調制御は、
高度な自動化設備やスマートファクトリーを実現するための重要な技術となっています。
■基本的な考え方
協調制御は、一般的に次のような仕組みで動作します。
1. 各装置の役割を決める
ロボットや周辺設備ごとの担当作業を設定します。
2. 座標系を統一する
共通の基準座標を設定し、全機器が同じ位置情報を共有します。
3. 動作タイミングを同期する
開始・停止・速度・位置などをリアルタイムで調整します。
4. 一つの工程として制御する
複数の装置を一体のシステムとして動作させます。
◆つまり協調制御は、複数の装置を一つの設備として動かす仕組みです。
■外部軸制御との違い
協調制御を理解するうえで重要なのが、外部軸制御との違いです。
△外部軸制御
1台のロボットと走行軸やポジショナーなどの追加軸を同期制御します。
△協調制御
複数台のロボットやロボットと複数設備を連携させます。
つまり、
・外部軸制御=1台のロボット+追加軸・協調制御=複数ロボット・複数設備の連携
という違いがあります。
■7軸目同期との違い
7軸目同期とも混同されることがあります。
△7軸目同期
ロボット本体と第7軸を一体制御します。
△協調制御
複数台のロボットや設備全体を同期制御します。
つまり、
・7軸目同期=ロボット+走行軸
・協調制御=複数ロボット・設備全体
という違いがあります。
■ロボットでの使われ方
協調制御は、特に次のような場面で利用されます。
1. 双腕搬送
2台のロボットで大型ワークを搬送します。
2. 組立工程
一方が保持し、もう一方が組み付けを行います。
3. 溶接
ロボットとポジショナーを同期させて加工します。
4. パレタイジング
複数台で積み付け作業を分担します。
5. 自動搬送設備
AGV・AMRとロボットが連携して搬送します。
◆つまり協調制御は、複数の装置が同時に動作する工程で広く活用されています。
■主なメリット
協調制御には、一般的に次のようなメリットがあります。
1. 大型・重量物に対応できる
複数台でワークを保持・搬送できます。
2. 生産性を向上できる
工程を分担することで処理時間を短縮できます。
3. 加工品質を向上できる
姿勢やタイミングを最適化しやすくなります。
4. 設備の柔軟性が高まる
工程変更や設備追加にも対応しやすくなります。
5. 自動化範囲を拡大できる
単独ロボットでは難しい工程も自動化できます。
■注意点
一方で、協調制御には注意点もあります。
1. 同期精度が重要
最も重要なのは、各ロボットや設備の位置・速度・タイミングを正確に同期させることです。
2. 干渉確認が必要
複数台が同時に動くため、動作範囲の確認が欠かせません。
3. 通信性能が求められる
リアルタイム通信に対応したネットワークが必要です。
4. 制御が複雑になる
設備が増えるほど制御プログラムも高度になります。
5. 保守範囲が広がる
複数設備を対象とした点検・保守が必要です。
■実務で重要なポイント
協調制御を導入・運用するには、次の点が重要です。
1. 共通座標を正確に設定する
最も重要なのは、すべての装置で同じ基準座標を共有することです。
2. 通信方式を統一する
EtherCATやPROFINET、EtherNet/IPなど、設備構成に適した通信方式を選定します。
3. オフラインシミュレーションを活用する
干渉や動作タイミングを事前に確認します。
4. 実機で同期精度を確認する
位置ずれやタイミングを検証します。
5. 安全システムを設計する
非常停止や安全センサーも含めて統合設計します。
6. 将来の拡張を考慮する
設備追加や工程変更に対応できる構成を検討します。
■よくある課題
協調制御では、次のような課題が起こりやすいです。
・同期タイミングがずれる
・座標設定を誤る
・通信遅延が発生する
・ロボット同士が干渉する
・制御プログラムが複雑になる
・保守資料が不足している
・設備追加時に設定変更が必要になる
・シミュレーション不足で現場調整が増える
◆このため、協調制御は単なる複数台制御ではなく、
ロボット制御、通信、座標管理、安全設計を総合的に構築する高度な自動化技術として扱う必要があります。
■自動化との相性
協調制御は、自動化設備との相性が非常に良く、大型搬送、組立、溶接、パレタイジング、自動搬送、スマートファクトリーな ど幅広い分野で利用されています。
主なメリットは次の通りです。
・大型ワークへ対応できる
・生産性を向上できる
・加工品質を向上できる
・複数工程を同時に自動化できる
・設備全体を最適化できる
・柔軟な生産ラインを構築できる
■まとめ
協調制御とは、複数のロボットやロボットと周辺設備をリアルタイムで同期させ、一つのシステムとして動作させる制御技術です。大型ワークの搬送や組立、溶接、パレタイジングなど、一台のロボットでは難しい工程を効率よく自動化できるため、高度な生産ラインで広く採用されています。
実務では、共通座標の設定、通信方式の選定、同期精度の確認、干渉チェック、安全システムの設計が重要です。適切に導入・運用できれば、生産性や品質、設備の柔軟性を大きく向上させることができます。


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