
Breakdown Maintenance / BM / Corrective Maintenance After Failure
事後保全(BM)
事後保全(BM)とは、設備や機械が故障、不具合、停止を起こした後に修理、交換、復旧を行う保全の考え方のことです。
設備保全には、故障前に点検や交換を行う予防保全と、故障後に対処する事後保全があります。事後保全は一見受け身に見えますが、すべての設備に予防保全を徹底するのはコストや工数の面で現実的でない場合もあります。
そのため、重要度の低い設備や交換が容易な部品では、あえて事後保全を選ぶケースもあります。
※つまり事後保全(BM)とは、設備が故障した後に復旧対応を行う保全方式です。
工場、自動化設備、搬送装置、空圧機器、ロボット、検査装置など、あらゆる設備管理の現場で使われる基本用語です。
■事後保全の役割
事後保全の主な役割は、故障や不具合が発生した設備をでき るだけ早く正常状態へ戻すことです。
主に次のような目的で行われます。
・故障設備の復旧
・停止設備の再稼働
・不良部品の交換
・不具合原因の修正
・応急処置と本復旧
・生産再開までの時間短縮
・再発防止のきっかけづくり
◆つまり、事後保全は故障発生後の損失を最小限に抑えるための復旧活動です。
■なぜ重要なのか
どれだけ予防保全や予兆保全を行っていても、すべての故障を完全に防ぐことはできません。突発的な部品破損、外乱、操作ミス、想定外の負荷などで設備が止まることはあります。そのとき、迅速かつ適切に復旧できる体制がなければ、生産ロスが大きくなります。
事後保全が重要な理由は次の通りです。
・突発故障への即応が必要なため
・設備停止時間を短くするため
・生産再開を早めるため
・応急対応と恒久対策を切り分けるため
・故障原因分析につなげるため
・予防保全だけでは防げない事象に備えるため
◆つまり、事後保全は保全の失敗ではなく、現実の設備運用で必ず必要になる復旧能力でもあります。
■主な対象
事後保全の対象には、次のようなものがあります。
・突発的に停止した設備
・破損した部品
・故障したセンサや電磁弁
・断線や接触不良
・エア漏れや油漏れの異常
・ロボットやコンベアの異常停止
・PLCや制御機器の故障
・劣化が読みにくい消耗品
◆つまり、予防できなかった故障や、あえて事後対応とした対象が事後保全の対象になります。
■主な内容
事後保全では、一般的に次のような作業が行われます。
1. 故障確認
どこで、何が、どのように止まったのかを確認します。
2. 応急処置
安全を確保しつつ、まず設備を一時的に復旧させる処置を行う場合があります。
3. 故障部品交換
異常部品を新品または予備品へ交換します。
4. 原因調査
なぜ故障したのかを確認し、再発防止のための情報を集めます。
5. 恒久対策
必要に応じて設計変更、周期見直し、予防保全化などを行います。
■予防保全との違い
予防保全は、故 障する前に計画的に点検や交換を行う考え方です。一方、事後保全は、故障してから対処する考え方です。
つまり、
・予防保全=故障前に守る
・事後保全=故障後に直す
という違いがあります。
■予兆保全との違い
予兆保全は、振動、温度、電流などの変化から故障の前兆を捉え、故障前に対応する考え方です。一方、事後保全は、すでに故障や停止が起きたあとに対応する保全で す。
つまり、
・予兆保全=データを見て先に対応
・事後保全=起きた故障へ後から対応
という違いがあります。
■主なメリット
事後保全には、次のようなメリットがあります。
・まだ使える部品を早く交換しなくてよい
・保全部品交換の無駄を減らせる
・重要度の低い設備では効率的な場合がある
・単純な部品では保全計画が不要な場合がある
・保全工数を重要設備へ集中しやすい
つまり、事後保全は常に悪いわけではなく、対象によっては合理的な保全方式です。
■主なデメリット
一方で、事後保全には大きなリスクもあります。
・突発停止が発生する
・生産ロスが大きくなる
・納期遅延の原因になる
・故障時対応が属人化しやすい
・二次被害が起こる可能性がある
・緊急修理でコストが増える
・安全リスクが高まる場合がある
そのため、重要設備へ事後保全を多用するのは危険です。
■実務で重要なポイン ト
事後保全を適切に位置づけるには、次の点が重要です。
1. どの設備で許容するかを決める
最も重要なのは、すべてを事後保全にしないことです。止まっても影響の少ない設備、代替が容易な設備、部品交換が簡単な設備に限定する考え方が必要です。
2. 予備品管理
事後保全は故障後対応なので、交換部品がすぐ手に入らないと復旧時間が長くなります。予備品の管理が非常に重要です。
3. 故障記録の蓄積
事後保全を行ったら、何が壊れ、何を交換し、なぜ起きたかを残す必要があります。この情報がないと、同じ故障を繰り返します。
4. 応急処置と恒久対策を分ける
とりあえず動かす応急対応だけで終わると、同じトラブルが再発しやすくなります。本復旧や根本対策までつなげることが重要です。
5. 安全確保
故障時は焦って復旧を急ぎがちですが、異常停止した設備には安全上のリスクもあります。停止確認、残圧除去、電源遮断などを守る必要があります。
■よくある課題
事後保全では、次のような課題が起こりやすいです。
・故障のたびに場当たり対応になる
・予備品がなく復旧に時間がかかる
・原因分析せず同じ故障を繰り返す
・緊急対応で人依存が強くなる
・重要設備まで事後保全になっている
・応急処置のまま使い続ける
・故障記録が残らない
・結果としてコストが増える
このため、事後保全は単なる「故障対応」ではなく、どこまで許容し、どう管理するかを明確にした上で使うべき保全方針です。
■自動化との相性
事後保全は、自動化設備に対して万能ではありません。特に、自動化ラインでは1台停止が全体停止につながるため、重要設備では事後保全だけに頼るのは危険です。
ただし、次のような場面では相性がよいこともあります。
・停止影響が小さい 補助設備
・交換が簡単な汎用品
・低コストで冗長化されている機器
・予備品をすぐ交換できる対象
つまり、自動化設備では
重要設備=予防保全、
予兆保全中心軽微設備=事後保全も許容
のような使い分けが現実的です。
■実務でのチェックポイント
・どの設備で事後保全を許容するか明確か
・予備品をすぐ交換できる体制があるか
・故障記録を残しているか
・応急処置と恒久対策を分けているか
・同じ故障が繰り返されていないか
・重要設備まで事後保全にしていないか
・復旧時の安全確認を徹底しているか
・故障情報を予防保全へ反映しているか
■関連用語
・予防保全(PM)
・予兆保全(予知保全)
・定期点検
・日常点検
・故障解析
・トラブルシューティング
・予備品管理
・設備保全
■まとめ
事後保全(BM)とは、設備が故障した後に修理や交換を行って復旧する保全方式です。突発停止への対応として必ず必要になる一方、重要設備ではこれだけに頼ると生産ロスや安全リスクが大きくなります。
実務では、事後保全を許容する設備の選定、予備品管理、故障記録、原因分析、恒久対策まで含めて運用することが重要です。適切に位置づければ、保全コストを最適化しながら現実的な設備運用につなげることができます。
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